スカート日和

好きなもの、好きなこと。

そういうの、ぬか喜びって言うんだよ!【カルテット第6話】

f:id:arua575:20170223001132j:image

 

カルテット6話、見ました。

以下、ネタバレ含みます。

 

 

 

 

 

巻さんと夫さんの過去を中心に描かれた第6話。

まず、すずめちゃんに正体を隠したまま、一緒に別荘に向かおうとする夫さんは、いまいち何を考えているのか分かりづらい存在ですね。

押しに弱く気も弱そうな外見(宮藤官九郎さん、ナイスなお顔です)とは裏腹にコンビニのお金を盗もうとしたり…性格が掴みづらいです。

夫さんが別荘ですずめちゃんに全てを話すのと同時に、巻さんはお義母さんに、教会で全てを打ち明けます。

 

この2人の回想がメインの6話でしたので、やはり今回はそこの感想をじっくりと述べます。

2人の出会いから細かく描かれている中で、わたしがどうしても気になったのが色の使い方でした。巻さんと夫さん、それぞれに決まった色があるように思えたのです。

それはズバリ、巻さんは白、夫さんは黒です。

まず、2人が出会って食事に行くシーン。

巻さんは白い洋服、夫さんは黒い洋服を身につけています。

薄暗い店内の中で、白い服の巻さんは少し目立っているように思います。

これは、このレストランが夫さんのテリトリーであり、そこに巻さんが入り込んでいる(夫さんが招き入れた)ことを表しているのではないでしょうか。

先に惹かれたのは夫さんの方ですし、食事に誘ったのも夫さんだと予測されます。大体、食事に誘う側は、自分が連れて行きたいお気に入りのお店を選ぶはずですよね。初デートであれば特に気合いも入るでしょう。

つまり、初めは、夫さんの世界の中に巻さんが侵入してきた感じに近かったのだと思います。

それが、結婚することにより少しずつ変わっていきます。

 

2人が結婚して引っ越した新居は、レストランとは逆で、内装が真っ白です。引っ越しのシーンで目立つ黒と言えば、巻さんのバイオリンケースのみ。

これは、完全にこの家そのものが巻さんのテリトリーであることを示しています。

そして、巻さんの持ち物の中で夫さんが魅力的に感じるのはバイオリンのみなのです。この演出は、夫さんが巻さんにバイオリンを続けたら?と発言する場面にも繋がります。

 

また、白と黒の2人の間を埋めるかのように出てくる色が、緑です。

緑色にどんな意味があるのかは分かりませんが、このドラマ全体を通してよく使われている色ですね。(すずめちゃんのコート、別荘の内装など)

ちなみに、今回巻さんが駅までお義母さんを迎えに行った際も、駅の中に緑色が目立ちました。(緑色の改札って珍しいですよね。)

また、教会のシーンで巻さんが買ってきた飲み物のカップも緑色です。

巻さんたち夫婦の生活に出てくる緑色は、まず食卓に並ぶサラダでしょう。黒と白に注目して見ていると、料理のシーンでふと出てくる野菜の緑色にハッとさせられました。

そして、これはまさか!と思ったのが、コンポから流れてくる音楽です。2人のダイニングに流れる音楽はクラシックではなく、GReeeeNの愛唄。そう、グリーンなのです。

夫さんが入院してからも、病室に置かれた緑色にはどうしても目がいってしまいました。

黒と白と、緑。なぜ緑なのか、今後の展開の中で明らかになればと思います。

 

話を黒と白に戻します。

初めは2人とも分かりやすくそれぞれの色を纏っていましたが、生活が進むにつれて、少しずつ変化が現れるようになっていました。

巻さんは、黒色の洋服を着ていることもあります。これは、家族になった夫さんに少しでも近づこうという心境の表れのように思えます。

一方で夫さんも、巻さんのことを好きでいなければと自覚して以降は、灰色の洋服を着るようになっています。ここで、白と黒が混ざった灰色、というのが2人の大きな違いと言えます。

巻さんは全てをさらけ出し、自分を任せられる家族を求めており、相手の色に染まることも受け入れていましたが、夫さんはどうしても自分自身の生き方を捨てられず、相手の色に染まり切ることができないのです。

 

そして、夫さんが最初からほぼ揺らぐことなく黒い服を着ていることは、巻さんに対する恋愛感情に拘りを持っていることの表れだとも思います。

2人の色が溶け合って家族になるのに、黒という最も他の色と溶けにくい色を纏う夫さんの様子を見れば、家族になりたい訳ではなく、ずっと恋人として付き合っていたかったという発言にも納得がいきます。

そして夫さんは、元カノから連絡が来て、助けてと言われたとしても、揺らぎませんでした。あくまで、巻さんへの恋愛感情を持っていたいだけなので、状況をややこしくするだけの不倫には足を踏み入れない!という気持ちの表れなのでしょうか。

真面目なのか、面倒くさいだけなのか、ここでも掴めない性格です。

 

また、2人で映画を見るシーンでは、家族と言えど結局は他人である、という悲しいすれ違いが描かれていました。

夫さんが好きな映画を、巻さんは質問攻めしながら鑑賞し、最後には寝てしまいます。また、巻さんが面白がって見る映画では、夫さんは明らかに退屈そうです。

わたしも恋人と好きなドラマや映画を見る時、どうしても分かり合えないなーと感じることは多々ありますので、このシーンは少し胸が痛くなります。(笑)

このシーン、部屋全体は薄暗くて夫さんに寄っているように見えますが、実は夫さんの左側は光が残ったままで壁の白が目立っていることに気がつきます。そして夫さんの右側に座る巻さん。

夫さんがどれほど自分の好みに近づけようとしても、家そのものはもう巻さんの物であり、また、巻さんからも逃れることができない場所にいることが分かります。

 

こんな家の中での生活は、次第に夫さんの心を追い詰めていくようになります。

その結果、ベランダからの飛び降り。

それにしても、巻さんが突き落とした、というのが夫さんの嘘だったことに驚きました。疑われていた巻さんが可哀想に思えてしまいます。ただ普通の家族になりたかっただけなのに、なぜか夫は逃げてしまい、なぜか自分が殺したと疑われる。夫の帰りを待ち続け、靴下もそのままにして、死体発見のニュースに怯える日々。

 

ただ、この2人の関係に白黒つけようと、先に動き出したのは巻さんでした。

夫さんがいなくなった夜も、先に家を出たのは巻さんでしたし、離婚する意思をお義母さんに伝えたのも巻さんが先でした。

一度黒に染まった彼女は、夫と別れることによって、元の真っ白で唯一無二の存在に戻っていくのでしょうか。

 

今後の2人の展開が気になるところですが、それよりも今回の終わり方が衝撃的すぎて、しばらく引きずってしまいそうです。

時間軸が飛び飛びで描かれていたため、詳しいことはよく分かりませんが、二階のベランダから落ちた有栖は、どうなってしまったのでしょう。三階から落ちても死なないけれど、二階から落ちて死ぬ人もいるの、という巻さんの言葉が聞こえてきそうです。

また、この状況の中で雪の中を歩く家森さん、倉庫に閉じ込められた別府さん、監禁されたすずめちゃん、そして雪の中を走る巻さん。それぞれの静と動がこれからどのように作用していくのでしょうか。

 

最後に、今回のタイトルに選んだ言葉ですが、すずめちゃんが夫さんに強く言い放った言葉です。

 

そういうの、ぬか喜びって言うんだよ!

 

以前、巻さんが悲しいよりも悲しいことはぬか喜びだと言っていました。

すずめちゃんはあの時寝たふりで聞いていたはずですから、この発言は巻さんへのすずめちゃんの思いがあふれたセリフと言えるでしょう。

先週のすずめちゃんの涙を思い出して、胸に迫るものがありました。

 

 

さて、今回の感想は以上になります!

次回からは終わりの始まりですね。

さらにみぞみぞする展開が待ち受けていることに期待しています。

 

それでは、また。